プロローグ

前バレンディア暦704年。
アルケイディア帝国とロザリア帝国の抗争は激しさを増していた。イヴァリースに存在した無数の小国も、次々に両国に併合されつつあり、ガルテア半島の由緒正しき小国ダルマスカもまた戦火の影響を受けていた。
そんな中、王都ラバナスタでは700年以上も昔にガルテア連邦を築いた覇王の血族を王とするダルマスカ王女アーシェと、同盟国ナブラディア王子ラスラとの結婚の儀が行われていた。覇王の血を継ぐ兄弟国同士で結束を固め、アルケイディアとロザリアに対抗するべく政略結婚ながらも、王女アーシェは夫ラスラと愛を育み合うことを心に誓っていた。
それから数日も経たぬうちに悲劇は訪れた。
アルケイディアの軍勢がナブラディア王国を滅ぼしダルマスカ国境のすぐ前まで迫ってきたのだ。故郷の悲報を聞いたラスラは、妻アーシェとの幸せもつかの間、自ら出陣を志願し、ダルマスカの名将バッシュ・フォン・ローゼンバーグ将軍とともに国境の地ナルビナ城塞へ発ち、命を落とした。
帰らぬ人となった夫と対面し、結婚から数日で未亡人となったアーシェは悲しみに暮れた。


なす術もなくなったダルマスカ王ラミナスは、ナルビナ城塞の陥落から3ヶ月後、アルケイディアと和平協定を調印することにより降伏勧告を受け入れ、帝国占領下ナルビナ城塞に向かった。
だが、わずかに生き残ったダルマスカの騎士たちが、この和平協定調印式において、ラミナス国王暗殺の情報を察知した。
暗殺の舞台となることが疑われる調印式の場ナルビナ城塞に、バッシュ将軍を中心とする騎士団の有志たちが潜入していた。


  • FF12ストーリー あまい誘惑