宴の夜

ラバナスタ王宮へは、ガラムサイズ水路を通り侵入出来るようだ。
ヴァンは弟分のような存在のカイツに水路へ下りられる扉を開けてもらい、侵入に成功した。ウエアラットを倒すためによく忍び込んでいる水路だが、今日は、なんとなくいつもと違うように感じる・・・。
ヴァンは冒険の始まりに胸がときめいた。
魔物を倒しながら水路の階段を上がっていくと、そこは宮殿の地下倉庫だった。倉庫内は宴の準備をする使用人たちでにぎわっている。これならヴァンがまぎれていても怪しまれないだろう。
ヴァンは帝国兵の目を盗み、さらに王宮の内部に進んでいった。
王宮の大広間階下は、さすがに警備が厳しかった。帝国兵が道を塞いでいるが、あの帝国兵がどこかにいけば、獅子の紋章がどこにあるか探すことが出来る。ヴァンは、ここはいっちょうからかってやろうと、通路に立ちはばかる帝国兵たちを翻弄し、とうとう獅子の紋章を探し当てた。
少し緊張しながら紋章にクレセントストーンの力を注ぎ込んだ・・・。
その後、大広間階下の廊下を進むと、ほのかな光りを発する場所があった。
きっとあそこだ!
怖い、というよりは冒険心の方が強かったのかもしれない。ヴァンはためらいもなくその光りの奥に進んでいった。


やはり光りの奥には、宮殿の宝物庫があった。
やった!
ヴァンが宝物をあさっていると、大きな女神の像から一条の光りが発し、光る魔石が現れたのだ。これは・・・・ と、ヴァンがその魔石を手にしたその時、宝物庫の扉が開き・・・
ヒュムの男と、ヴィエラの女が現れた。どうやら彼らも宝を狙っているようだ。
「あんたは?」 ヴァンが尋ねた。
「この物語の主人公さ」 そのヒュムの男は、呆れるようなセリフをいい、ヴァンが手にした魔石を自分に渡すようにと言った。ヴァンは断固として拒否し、そのヒュムの男に魔石を奪われないように宝物庫の外へ出た。
外では戦闘の音が聞こえた。
宮殿に潜入していたダルマスカ解放軍が、帝国に抵抗すべく反乱を起こしたようだ。しかし執拗にヴァンから魔石を奪おうとするヒュムとヴィエラのコンビは、しまいにはエアバイクまで使って追いかけてくる有様だった。
「さぁ、ボウズ!観念して、そいつをオレに渡すんだ!」
絶対に渡さない!ヴァンはエアバイクに引きずられながらも魔石を手から離さなかった。
「ジタバタすんな、こら!」
そうこうするうちに、ヴィエラが操縦するエアバイクの浮力が落ち始めた。
「どうした、フラン」
「わからないわ!いうことを聞かない」
「ちっ!どうなってんだ」
3人を乗せたエアバイクは、王宮の奥深くに落ちていった。


  • FF12ストーリー あまい誘惑